スロヴェニアの最高峰はトリグラウだけど、それより私の中で美しく気になっていた山がSPIKだ。
山の名前の意味は「槍ヶ岳」そうそういう形の山で、良く通る道路の真正面に何時も凛々しく美しく
そびえている山だ。山の美しさもさることながら、私はそういう下界から勇壮に見える山が好きだ。
だって何度も「あの山登ったんだなぁ~」って自己満足に浸ることが出来るでしょ?
日本の谷川の芝倉谷もその一つ、湯沢のインターからトンネルに向けて高速を走る度に、
「あの沢滑ったんだ・・・しかし急だよな~」と悦に入れる(笑)。

去年地図とトッポを見てこの山は「クライミングで登る」と決めていたが、なかなかチャンスを掴めなかった。
今年は天気がとても不安定なのと、この山はクライミングで登るには時間が掛かるからだ。
スロヴェニアのトポで見てもクライミング900m、6時間~9時間(彼らの予想行動時間は非常に短い)
しかも当然の事ながら、スタカートでのコースタイムと下部の三分の1は確保無しの時間だと思う。

一番簡単なルートが4級+なので、これなら中嶋でも行けるかと思ったが、
スロヴェニアの岩場はクライミング技術と言うより、ルートファインディングと岩慣れ+スピードが勝負だ。
結局旦那の友人でこの辺の岩場に精通しているフランツが、
全部リードで連れてくれることになった。ラッキー♪
初めは旦那も含めて2パーティの予定だったが、天候の関係で私とフランツだけで行くことに・・・
(後から思えばこれは正解。だってものすごい落石だもん)
でもね、「何も要らないけど、ハンマーは忘れないでね」と言われて、中嶋は愕然。
だって・・・“人任せお気軽クライマー”だからそんなの持って登ったこと無いモン。重いし・・・

今回はガイド山行ではないので、結局現場で難しいルート(V+)を選択することになってしまった。
最後の12ピッチくらいは、ほとんどV台のピッチなので緊張した。
V+では躊躇無くAOだし、カンテに出ようとピンチでつかんだ岩が落ちて、1m滑落した!
(石灰岩の岩なのだが最近は安定していない気がする)
しかしフォロー専門ながら、ハンマーでハケンも回収し、
何となく一端のアルパインクライマーの気持ちを味合わせて貰った♪

考えると中嶋としては初めての日帰り行程標高差1500mだったかも(スキー除く)。
日射しが照るつけるガレ場の下山道では熱中症に掛かるかもと思うくらい足元がふらついて、
一人で勝手に休憩を取って下山してしまった(だって1300mを2時間で降りるんだよ~)

もうこの山には登山道でもクライミングでも登りたくないけど(アプローチがきつい!)
一度でも登れて非常に満足な中嶋でした。
フランツ!サンキュー!
行かせてくれた旦那様にもサンキュー!

ダイレクトルート V+ クライミング900m (7時間~9時間) 全行程標高差1500m
5:30  車を下山地点に回送するなどして、登山口スタート(標高900m)
7:30  クライミングスタート(標高1400m)
15:30 シュピック頂上 (標高2475m)
16:00 下山開始
18:30 回送しておいた車に着
(二人のクライミング時間は8時間。全行動同時間13時間!)